東京高等裁判所 昭和52年(ツ)6号 判決
民訴法三八二条一項の規定は、控訴審において本訴の請求とその基礎を異にする別個の新たな反訴を提起する場合にのみ適用があると解するのを相当とする。請求の基礎を同一にする限りその事実審理の範囲に異同はなく、相手方の審級の利益を失わせるおそれがないからである。本件において、上告人が承継した脱退被控訴人の本訴請求については、本件係争地である石垣敷地の所有権が被上告人らにあるか脱退被控訴人または上告人にあるかが最大の争点であり、第一審以来この点につき十分に審理がされてきたところ、原審において被上告人らが提起した反訴は上告人に対し所有権移転登記手続を求めるものであるが、それは被上告人らの本件係争地の所有権を根拠にし、またそれ以上に出るものではないから、このような反訴提起は上告人から審級の利益を奪うものとは解されない。
(吉岡 吉江 手代木)